風水は地理学、環境学を基本とした、“幸せになるための学問”です。
昔からその土地に伝わる知恵を生活に適応させたものが風水で、そのため風水の起源である中国と、それが伝わり独自に発展した日本では方法にも少し違いがあります。
中国と日本の風水はどのように違うのか、風水をする上で重視されていることは何なのか、風水の考え方の初歩についてじっくり解説していきましょう。
目次
風水の基本は地理・環境学
風水の基本は地理学、環境学です。そのため風水を“地理風水”と書き表すこともあります。
地理学や環境学が基本になっていると聞くと、ちょっと難しいジャンルのように思えてきますよね。
でも大丈夫、風水は専門的な知識がなくても理解することができます。それは昔からある噂や知恵を生活に適応させたものが風水だからです。
昔からある噂や知恵を生活に適応させたのが風水
風水を地理風水と表すこともあるのは、風水が気候や風土と関係が深いからです。
あなたの住んでいる街あるいは実家の周りに、大雨の日は必ず氾濫する川や、よく土砂崩れする山はありませんか?
また、どこかの埋め立て地が地震の影響で地面が液状化した、というニュースを見たことはないでしょうか。
- 大雨が降ると氾濫するから○○川の近くに住んではいけない
- 土砂崩れしやすいから○○山を切り拓いた場所に家を建ててはいけない
- 埋め立て地は地震で地面が液状化しやすいため○○町は住むには適さない
こうした昔から地元の人に伝わる噂や知恵は、地理学の知恵であるとも言えます。そしてこれらを人々の生活に適応させたものこそが風水です。
風水を知っていると、どうして地名にサンズイが付いている場所は水害が多いのか、なぜ住宅街の真ん中に神社がぽつんと建っているのか、その理由についてもより深く理解できるようになります。
起源:中国生まれ、日本で独自に発展
風水って元々日本にあったものではないのです。では風水はどこの国から伝わってきたかご存知でしょうか?正解は中国、風水の起源は中国にあります。
中国で風水を学んだ人がその知識を日本に持ち帰り、アレンジを加えるなどして広め、独自に発展していったのです。
そのため中国の風水と、そして日本の風水は似ているようで少し違う部分があります。
日本の風水は日本の気候や風土に適したもの
中国の風水では魚は吉祥をもたらすと考えられていて、金魚や鯉といった魚類を飼う人は少なくありません。
しかし-70℃以上を記録したこともある、世界で一番寒いとされるロシアのとある村で金魚や鯉を飼えるでしょうか?
庭の池で金魚や鯉を飼ったら一瞬で池ごと凍ってしまい、運気が上がるどころではないですよね。
中国の風水をそのまま持ってきても、寒い国では通用しないこともあります。風水は気候、そして風土に合わせたものであるべきなのです。
そのため今の日本にある風水は、中国から伝わってきた風水を、日本の気候や風土に適応させたものだと言えます。
日本列島では『鬼門』を重んじる
日本の風水で重んじること、それは“鬼門”です。鬼門は日本の方位で言うと、東北にあたります。
鬼門を重視するのは日本列島が東北から南西へ、表鬼門から裏鬼門へと流れていくような形をしているためです。
鬼門は常に綺麗にしておくべき場所。そのため古来より、鬼門に汚れやすい玄関を置く家は良くないとされています。
しかしこの鬼門の考え方、扱い方も中国と日本では以下のように違いがあります。
- 台湾の北…亜熱帯気候で気温が高いため玄関を開け北からの冷たい風を入れたいので、東北の表鬼門を玄関とする。
- 日本の北…北海道などは気温が低く表鬼門に玄関を置くと寒さで生活が困難となる。
このように中国、台湾ではそのまま使えた風水も、日本で使うとなるとちょっとアレンジを加えなければ使いにくいのです。
“自然との暮らし”を考える風水の不変性
風水をする上で大事なのが、“自然との暮らし”を考えることです。
中国と日本では気候や風土が違うため、日本に伝わっている風水は、日本の気候や風土に合わせたものになっています。しかし、
- 太陽の動き方
- 風の流れ方
- 季節感
といった自然については不変であるとされています。太陽は南半球を除き、どの国どの地域でもこのような法則を持っています。
- 東から昇る
- 南に上がる
- 西に沈む
- 北からは昇らない
風の流れ方や季節感も、それが自然の法則であるため変えることはありません。
太陽、風の流れや季節感を不変とする理由
例えば中国の風水では、西に商業的な道路を作ることが良いとされています。
これは中国の西に交易路のシルクロードがあり、そこから塩を運んでいたため。塩は白色、だから中国の風水では西に白色を置くと運気が上がると考えます。
しかし日本の風水では西に白色はあまり置くべきではないとされています。
西に置くのは黄色、なぜなら日本では“秋に黄色く色づく稲穂が、1年間の実り(お金)の象徴”と考えるためです。
西に白色を置くと、稲穂が白く枯れてお金が入ってこないようなイメージになってしまいます。そのため日本では西に白色ではなく、黄色を置いて金運を上げるのです。
太陽の法則や風の流れ方、季節感に逆って“日本では12月の冬の季節に稲穂が実る”なんて考え方をすると、実際の生活に適応できるような風水ではなくなってしまいますよね。
だから太陽の法則や風の流れ方、季節感については不変であるとされているのです。
文明の進化にも順応しよう
風水は昔からずっと同じではありません。文明の進化、時代によってその都度変わっていくものです。
昔の家相では、家の中心にキッチンを置いてはいけないとされていました。これはその時代、今のように換気や排水設備が整っていなかったからです。
安全性が低いことから家の中心にキッチンを置くことは適さないと思われていました。
しかし現代では換気や排水といった設備は十分進化しているため、家の中心にキッチンがあっても安全に暮らしていくことができます。
家相的に良くないと言われていた対面タイプのキッチンについても、それをカバーできるように設備を整えられるなら、そこまで悪い相ではありません。
このように、昔は良くないとされていた風水も、文明の進化とともに変わってきています。時代や環境の変化によって風水を変えるということも視野に入れておきましょう。
一度きりの施策ではない・続ける大切さ
残念ながら、風水にはそこまで即効性はありません。
「風水に従って模様替えをしたからすぐ臨時収入が入ってくる」とか、「一度風水をすると必ず恋愛運が上がる」というようなものではないのです。
風水は一度きりの施策で終わらせるのではなく、始めたらそこからずっと続けていくことが大切だと言われています。
それは風水の基本に地理学、環境学があるから。環境を変えたなら、その環境に慣れて変化するまで時間がかかるものだからです。
風水で環境を変えたら馴染むまで継続・風水は代々伝えていくもの
風水は地理学、環境学です。環境を変えることでその人に何らかの変化が訪れます。
しかし良い環境に変わったからと言って急に性格が明るくなったり、環境を変えたその日のうちにリラックスしてぐっすり眠れるという人はあまりいません。
日差しが入らず昼間でも暗く窮屈でジメジメした家から、日差しがよく入り明るく広々とした家に引っ越しをしても、新しい環境に慣れるまでやっぱりそこそこの時間がかかりますよね。
風水もそれと同じです。風水を元に部屋の模様替えや引っ越しをするなどで環境を変えて、その新しい環境が自分に馴染んできたとき、そこでやっと自分の気持ちや考え方だったり体調に変化が訪れるのです。
風水を元に変えた環境に馴染むまで、途中でやめずに続けてみましょう。
そして風水は自分の代で終わらせるのではなく、自分の子供やその孫へと繋げ、継続させることでより効果が高まるとされています。
風水を始めたら一度きりで終わらせず、継続していけるようにしましょう。
風水は「幸せになるための学問」
風水について調べてみると、風水はただの占いではなく“幸せになるための学問”であるということがわかります。
今、自分が生きている時代や場所で、どうすればより快適に過ごすことができるのか?それを突き詰めたものが幸せになるための学問です。
風水で幸せになるためにも、これらのことを大切にしましょう。
- 自然に従い、逆らわない
- 住む場所の気候や風土に合わせる
- 文明の変化とともに風水を変える
地相や方位、家相といった風水の基本をチェックすること、あなたの暮らしに風水の考え方を取り入れることで、今の環境が更に良くなっていきます。