突然ですが「干支って何ですか?」と聞かれたら、何を思い浮かべるでしょうか?
「子、丑、寅…」と答えられた方、実に惜しい!実はそれだけだと、干支とは言えないのです。
干支は、東洋の占術に触れるなら、正しく理解しておいて損はないもの。また、暦付きのカレンダーを読む時等、日常にも活用できます。
この記事を通しで、ぜひ本当の「干支」に詳しくなってください。きっと、占いや日々の暮らしを今以上に楽しめるようになります!
干支とは?
干支とは古代中国で生まれた暦のこと。日本語では「えと」とも読まれますが、厳密には「かんし」と読みます。
日本では「寅年」「丑年」等、その年を表す際の言葉として有名。でも本当は年だけでなく、日時や方位も表すことができる言葉です。
一部のカレンダーや、お正月にお寺等で頂く暦に「ひのえね」「かのとみ」等、書いてあるのを見かけたことはないでしょうか?あれこそが、干支。
四柱推命等の占いにも欠かせない要素となっています。
十干と十二支、全60種類の組み合わせ
干支は、「十干」と「十二支」という2つの要素を組み合わせて作られます。
- 十干:1~10までを表す言葉
- 十二支:子から亥までの12通り
単純計算すると10×12で120通りになりそうなのですがそうはいきません。
ためしに、紙に1~10までの数を縦書きにしてみてください。その後ろに、子から順に干支を書いていくと…、「戌・亥」の2つが余りますね。
その余った2つは、次の1~10までのセットの頭にあてがわれます。そうすると次のセットは「申・酉・戌・亥」の4つがさらに次のセットに送られ・・・となるわけです。
結果として十干すべてに、10個ずつの干支をあてがった、全60種類で終了します。
干支は十二支のことだけを表す言葉ではない
ここまで読んでくださった方にはもうお分かりかと思います。
本来は、十干と十二支をセットにしたものこそが、干支。十干という皮で、十二支という名のあんこを包んだ、60種類のお饅頭に例えられます。
十二支だけでは、あんこのみといえるでしょう。特に占いをしたいのであれば、十支も使えて損はありません。
でも、日本で誰もが知っているのは十二支だけ。十干は占いや神事、不動産にかかわる人くらいしか、詳しくないのが現状です。
十二支だけが日本で一般化した理由
近代に近づくにつれ、西洋化が進んだのが1番の理由でしょう。特に、時間やカレンダーは、西洋発祥の基準に合わせてきた歴史があります。
ちなみに、怪談でよく聞く「草木も眠る丑三つ時」。
この丑三つ時は2時~2時半を指します。「待ち合わせは2時!」と比べると、だいぶ手間もとるし、時間の幅も大きいですね。
また、平安時代には既に、方角を十二支のみで表すことがあったよう。つまり、古くから十干よりも、十二支の方が重用されてきた歴史があるのです。
先ほどの丑三つ時も、十干は使わず、丑しか使っていないですよね。
さらに、比較的身近な動物の名前をあてがわれた十二支の方が、十干よりとっつきやすかったという背景もあるようです。
干支は英語でChinese zodiac
zodiacは、西洋占星術で使われる言葉。黄道上にある十二宮の星座の一覧を表します。
ただ、Chinese zodiacは十干十二支ではなく、十二支を表す言葉として用いられる模様。双方とも、要素がちょうど12個ずつだったので、この単語をあてがったのかもしれません。
ちなみに、Chinese zodiacの他にも、以下のような言葉で表現されます。
- Chinese astrology
- twelve horary signs
- Japanese zodiac
Astrologyは占星術という意味、 horaryは時間に関する形容詞です。中国発祥の概念ではありますが、Japaneseと冠されることもあります。
干支動物 十二支の英語対応表
日本語 | 英語 |
---|---|
子 | Rat |
丑 | Ox(cowも可) |
寅 | Tiger |
卯 | Rabbit(hareも可) |
辰 | Dragon |
巳 | Snake(Serpentも可) |
午 | Horse |
未 | Ram |
申 | Monkey |
酉 | Rooster(Cockも可) |
戌 | Dog |
亥 | Boar |
基本的には、日本で一般的に使われている動物名でOK.
丑は雄牛、鶏は雄鶏、卯は野うさぎなのが、少し違っているところです。蛇に関しては、Serpentだと毒蛇になります。
ただ、会話の中であれば、どちらを使っても通じることが多いでしょう。
ちなみに、十二支に採用されている動物は国によって異なります。ベトナムでは水牛、モンゴルでは豹等が入るそう。
上記の表はあくまで日本の十二支の対応表となります。
西洋での認知度は低いので説明が必要
子どもの頃「亥年よりも、戌年に生まれたかったな」なんて会話をしたことのある人も少なくないはず。それくらい、十二支は日本で浸透していますが、西洋ではあまり有名なものではありません。
日本には還暦=干支が1周すると、生まれ直すという概念があります。輪廻転生という概念もありますね。
つまり、時は流れればまた元に戻る、ループを描くような形で、時の流れを捉えているのです。
キリスト教を旨とする国では、時は1方向に流れるという考え方が多数派なので、干支の考え方は浸透しづらいのかも知れません。文化の違いといったところでしょう。
そのため、もし十二支や干支を、西洋出身の方との話題にするならば、丁寧な説明が必要となります。
本当の干支「十干十二支」を詳しく知る
ここからは本当の干支、つまり十干十二支を構成する、十干と十二支について、詳しく解説します。
「難しそう!」と敬遠しないで。理解できれば、四柱推命等の占いの結果が、より深く理解できるようになるはず。
「漢字だらけで、占い師さんの解説を聞くのがやっと」という状態も脱却しやすくなるでしょう。自分なりの視点で、結果を見やすくなるはずです。
その他、暦を読む時や、外国人のお友達、お子さんと話す際にも活用できるでしょう。
十干とは
もとは、数を数える時や、1ヵ月を3等分するのに使われた言葉です。そこに、中国発祥の陰陽五行論が結びついています。
基本的な要素は、森羅万象を表す、五行論の木・火・土・金・水。銘々に陰陽論と結びつく「兄と弟」という2つの要素があてがわれます。
兄は「え」弟は「と」と読むのが特徴です。それぞれ、連想できる森羅万象のものがあてがわれているので、簡単な性格占いもできます。
名称(読み) | 特徴 |
---|---|
甲(きのえ) | 木の兄。大きな植物。 |
乙(きのと) | 木の弟。草等。 |
丙(ひのえ) | 火の兄。太陽。 |
丁(ひのと) | 火の弟。焚火等、人が起こす火。 |
戊(つちのえ) | 土の兄。大きな山等。 |
巳(つちのと) | 土の弟。畑や田。 |
庚(かのえ) | 金の兄。研磨前の宝石、鉄鉱石等。 |
辛(かのと) | 金の弟。研磨した宝石等。 |
壬(みずのえ) | 水の兄。川や海。 |
癸(みずのと) | 水の弟。雨や霧。 |
十二支とは
木星の公転周期、12年をもとに天空を12等分したのが始まり。もとは、数字と同等の扱いでした。
ですが、時代の変遷とともに、生命のライフステージがそれぞれの文字にあてがわれるように。
それを、多くの人に使ってもらえるようにと、特徴に合う動物があてがわれたのです。
名称(読み) | 特徴 |
---|---|
子 | 種に命が宿る。繁栄、社交的。 |
丑 | 種の中に芽ができた。根気、マメ。 |
寅 | 芽が出た。勇敢、気まま。 |
卯 | 芽が伸びて地面をカバーした。発展、控え目。 |
辰 | 植物として完成。権威、自尊心が高い。 |
巳 | 植物が育ち切った。やり直し、理知的。 |
午 | 実がつき始めた。豊かさ、柔軟。 |
未 | 実が食べられる状態になった。家庭の安泰、やさしい。 |
申 | 実が熟する。賢さ、明るい。 |
酉 | 実が熟しきった。商売繁盛、真面目。 |
戌 | 植物が枯れた。忠誠心、実直。 |
亥 | 生命力が種に閉じこもる。一心不乱、忍耐。 |