心理テクニックは、上手に占いの場で活かしたいもの。お客様の本音を引き出して問題解決を目指すのに役立つからです。
でも、残念なことに心理知識やテクニックを悪用するインチキ占い師がいるのも事実。「どれがインチキか?」知識がなければ自分も同様の占い師になってしまいかねません。
今回はインチキ占い師がよく使う、心理テクニックをご紹介しましょう。じっくりチェックして、インチキ占い師への道をシャットダウンしてくださいね。
インチキ占い師の手口
一口にインチキ占いといっても、様々な手口があります。
わかりやすいものは「言うことを聞かないと、運がますます悪くなる」など脅すもの。この辺りは「危ない占い師」の見分け方として知っている方も多いでしょう。
ただ、最近は手口が多様化しており、パッと見だけではインチキ占いとはわからないものも多くなっています。
心理テクニックを悪用した「当たる占い」が横行
パッと見でインチキとわかりづらいものの代表格がこれ。心理テクニックを、リピーターを得るためや鑑定時間の延長をさせるためだけに悪用するのです。
ひどくなると、鑑定はほぼ形だけ。テクニックを悪用して「一見当たっている風」のことを告げます。巧み悪用をすればするほど、話が上手で的中率が高い占い師にしか見えません。
特に悩みが深い時は、客観的に鑑定内容を疑うことはしないもの。だまされているとは気づかないことが多いでしょう。
当たると思わせて依存させる
「この占い師、当たってる!」と思えば、自然とその占い師に頼りたくなりますよね?そんな消費者心理を突いて「当たってる!すごい!」と思わせるだけの占い師もいます。
自分をお客様の救世主と思い込ませて依存させるよう、「当たっている・あなたのことは見えている風」の会話を繰り返すだけ。
それを聞きたいお客様に無駄遣いを重ねさせるインチキ占い師と言えます。占いなしでは何もできない、お客様を作りうる危険な手口です。
頻繁に利用させたり物を売ることも
先の項目のように、インチキ占い師はヘビーリピーターを作るために心理テクニックを悪用することも。周りから見たら異常な頻度で鑑定を利用するように誘導するのです。
また、無理に物を売りつける占い師も存在します。物を販売することが悪いわけではありません。気に入ったものなら、気分が上がることもあるでしょう。
でも「買わないと不幸になる」等と無理強いして買わせるのは、やはりインチキの手口。儲けることしか考えていない占い師でしょう。
バーナム効果
誰にでも当てはまることなのに、ピンポイントに自分のことを言われたと思ってしまう現象です。
よくよく考えれば「誰にでも当てはまること」と思うことがほとんど。でも、占いの場で使われたら「なんでこんなに当たるの?」と思ってしまいがち。
そのためお客様に「当たる!」と思わせるテクニックとして、悪用されています。
バーナム効果の具体例
案外、インターネットでも触れることが多いものです。
「アラサー女子だから気になる、お肌の悩み」と言われれば、自分のことに思えてしまう。何十万人と同じ属性の方がいるのに、です。
このように、身近なことと思ってもらうために使うのはアリ。ですが占いの場では、悪用されるケースも数多くあります。
インチキ占い師がバーナム効果を使った手口
鑑定部屋に入った途端「あなた今、つらいですね」と言う
つらい時、たとえ社交辞令でも、こう言われたらうれしいもの。そこを突いて悪用する例です。
本当につらそうな顔だと思ったなら、悪用ではありません。でも、誰にでも言って鑑定力を盛っているなら悪用です。
鑑定結果を見ながら「あなたダラけることに罪悪感ないですか?」と言う
誰でも多少は、「サボッちゃった」と罪悪感を抱くことがあるはず。そう言えば大体、当たっているだろうと思って言うなら、悪用ですね。
さらにインチキ占い師なら、鑑定結果を見るふりをして見ていないこともあるでしょう。当然、鑑定結果を見て、ご本人が気にしていそうと思って伝えるなら、悪用ではありません。
確証バイアス
これも、占いが当たっていると思い込ませるためのテクニックとして使われる理論。
どんな人にでもある、自分が信じるものを裏付ける情報しか仕入れない・信じない傾向を指します。
日常生活でも物事を考える時に自分がこれに陥っていないか?注意する必要がありますね。加えて占いの場でも悪用しないよう、注意しましょう。
確証バイアスの具体例
例えば、飛行機が嫌いな方は大規模な飛行機事故を見て「これだから乗らない!」といいます。
実際には、飛行機が落ちる確率は宝くじで1等が当たる確率よりも低いもの。
それでも飛行機嫌いは飛行機が危ないという情報を集め、安全という情報は疑って乗ろうとはしないのです。これが確証バイアスに支配された状態です。
インチキ占い師が確証バイアスを使った手口
お客様の考えを肯定しまくる
お客様の考えは、確証バイアスに基づいていることが多いので、否定すると「当たらない」と言われかねない。だから意識的に肯定しまくるのです。
お客様は「占い師も裏付けをくれた」とそれを裏付けるものだけ信じるので、当たったように見えます。
「あなたのような人は年上と結婚する」
いわゆる「決めつけ」。確証的に行います。お客様はそれを裏付ける情報や事柄にだけ敏感になります。あとは上記の例と一緒です。
バーナム効果にも言えますが、占い師が無意識に使ってしまうことはあるでしょう。
「あくまで結果から見える傾向はこれだけど」というスタンスで伝えるのが、インチキにならないコツです。
ネガティブな「予言の自己成就」
いいことならばともかく、悪いことやツイてないことも実現させてしまったら最悪ですよね。でも、人間にはやってしまいかねない可能性があるのです。
それがこのネガティブな「予言の自己成就」。インチキ占い師が行うこともあれば、お客様が自分でそれをしてしまうよう、誘導することも可能です。
簡単に解説しただけでも、ちょっと怖いですよね。ここは少し詳しくご説明します。
予言の自己成就とは?
そもそも予言の自己成就とは何かというと「嘘から出た誠」。誰かに言われたこと、思いついたことが「そうなるのかも」と思って行動することで、本当にそうなることです。
インチキ占い師でいえば「このままだと不幸になる」「これさえすれば幸せになる」といった予言をすることになります。
ポイントは「そうなるのかも」程度でも、その予言を信じるかどうか。それを信じて行動するから、結果的に当たったかのように見えるのです。
似ているピグマリオン効果との違い
ピグマリオン効果は「周りがその人をどう扱うか」によって及ぼされるもの。例えば「美人だね」と言われ続ければ、自分のことをそう思うという現象です。
一方、予言の自己成就は「自分が能動的に信じる」「自分が思いついたことを信じる」もの。
お客様には、占い師は特殊な能力を持った人間、と思うことで「信じようとする」気持ちは既に発生しているはずです。
そのため、もともと占い師の言うことは予言の自己成就を作りやすい性質を持っているといえるでしょう。
予言の自己成就の具体例
身近で有名な事例が、最近あります。外出自粛が始まったばかりのころ「トイレットペーパーが品薄になる」という噂が流れました。もちろん最初はデマだったのに、現実化してしまいました。
「品薄になるかもしれないなら、対策しなければ。」とデマを信じ込んで買い込み、皆が嘘を本当にしてしまったのです。
予言の自己成就はこのように、案外簡単にはまってしまいます。日常生活でも、注意するに越したことはありません。
ネガティブな予言の自己成就をインチキ占い師が使った手口
「悪いことが起きる」
占い師に悪い予言をされて「信じない!」と決めた。でも、物をなくした等の不運に見舞われて「当たってたかも」と思い込んでしまいがち。
こうなると、この後起きる悪いことも「当たってた」と思い込んでしまいます。心理テクニックを悪用するインチキ占い師が、そのつもりで仕掛けたなら、思うツボです。
思い込ませ
当日の占いで「よく考えて行動しないと悪いことが起きる」と聞いて、妙に不安になる。その日、「あの件についてもっと深く考えればよかったかな」と思った直後、事故に遭遇。
「考えればよかったかな」と「事故」には何の関連がなくても、うっかり「当たった」と思い込む。これも予言の自己成就です。
ホットリーディング
もはや占いとしては、詐欺としか言いようのない手口です。これをするくらいなら、占いなんてしないほうがいいといえる、悪どい手口といえるでしょう。
先に占い師がお客様の情報を調べ上げてそれを、いかにも鑑定で読み取ったかのようにお客様に伝えるのです。お客様は調べられていることすら知らないので「当たった」としか思えません。
ホットリーディングの具体例
ビジネスシーンで、取引先の担当者の好きなこと・嫌いなことを調べる。これもホットリーディングです。
これは、互いに嫌な思いをすることを減らすため、互いの仕事が円滑に運ぶためにに活用するもの。なので決して悪いことではありません。
でも、占いの場面ではインチキ占い師だけが得をするような使い方をされることがあります。
インチキ占い師がホットリーディングを使った手口
占い師同士で情報をやり取りする
特に、占いヘビーユーザーは気を付けるべき手口です。
占い師同士で、ユーザーの情報を共有し、あたかも占いが当たったかのようにお客様に告げている。こんなことが横行しているのです。
考えたくはありませんが、こんな占い会社に就職してしまったら、何か理由をつけて、早く脱却するに限ります。
人を使ってホットリーディング
待合室で助手を使って、世間話からお客様の情報を引き出す。セールスマンなどを装った人物に、お客様の自宅を調査させる。
こんな方法でホットリーディングをする占い師もいます。占いを利用する側としても、現状以外は当たらない占い師に遭遇したら、こんな手口を使っているかもしれません。
コールドリーディング
コールドリーディングとは、相手の行動や言葉を観察することや、質問を通して、相手の思惑や本音を引き出すテクニック。
うまく使えば「本当は彼を見返したいから復縁したいだけ」など、お客様自身も気づかなかった本音を引き出せます。
でも、これも自分の儲けのためだけに悪用する占い師がいるのが現実です。
コールドリーディングの具体例
よく日曜夕方の某アニメで、ヒロインがおだてられて買い物をしてしまうシーン、見ませんか?おだてがうまい店員さは、自然とコールドリーディングを使っているかもしれません。
一般的にホメ言葉といわれることを、その場に応じて使えればOK。褒められた側は、その中身を無意識に信じようとする、それゆえ喜ぶルートをたどります。
ちょっとあくどく見えるかもしれませんが、社交辞令としては意外と使っている場面が多いものです。
インチキ占い師がコールドリーディングを使った手口
観察力の悪用
例えば、落ち着いた中年女性が鑑定に訪れたとします。でも、ポケットから10代が好むキャラクターが覗いている。
そこを見ただけで「あなた子どもっぽい」と決めつけて伝えるのが、観察力を悪用する占い師。現状や性格しか当てられません。
質問の悪用
「家の間取りが良くないといわれたことはない?」これ、はいと答えても、いいえと答えても会話が続きますよね?
はいなら、間取りが悪いから引っ越しなさいと言えば終了。いいえなら、どんな間取り?と聞けばOKです。
質問だけで鑑定らしきことができるというわけ。しかも、必要とあれば「南にリビングがあって」など詳しい情報まで聞きだせてしまうのです。
知った上で適切に心理テクニックを使おう
ここまで見てきて、心理テクニックって怖いと思った方もみえるでしょう。
たしかに、インチキ占い師にかかってしまったらいくらでも悪用できるため、怖いという側面はあります。
また、知らないうちにインチキまがいなことをしてしまったらと怖くなった方もみえるかもしれません。では、どうしたら適切に使えるか?考えてみましょう。
バーナム効果や予言の自己成就を逆手に取る
西洋占星術、四柱推命などの命術はいわゆる「タイプ」が明確になっているもの。それだけに「うお座はロマンチスト」など、ステレオタイプな性格分類に使われがちです。
だからこそ、バーナム効果や確証バイアスを悪用した占いと言われることも。でも、それを知っていれば、そうならない占いもできます。
「うお座はロマンチストと言われますけど、そうとは限りません」こんな風に、予言の自己成就を外す発言に使えるのです。
また、自分自身もバーナム効果にはまった鑑定をすることから逃れられます。西洋占星術なら、10天体分の星座やアスペクトを見ることも必要。
総合的に鑑定できれば、お客様ごとのオーダーメイドな鑑定ができるはずです。
お客様の「シンドイ思い込み」を外す
先にもお話ししたように、確証バイアスや、予言の自己成就はお客様自身が陥っていることが多いもの。
つられてしまうと、悪気なくアゲ鑑定をしてしまうこともあります。でも占い師が、これを自覚していれば、状況は変えられるはずです。
「思い込みを実現してしまう傾向が人間にはあるんです」とお客様に話して差し上げることもできます。
お話ししないにしても「これは確証バイアスだな」と思ったら、対処法を考え直すこともできるでしょう。
「こうしないと友達に嫌われる」と思い込んでいるお客様に、周囲にいる好かれる友達のパターンを聞いてみる。
こんな風に、真正面から対決せず、お客様の考えとは違う案を検討していただくこともできるのです。
ピグマリオン効果は活用できる!
アゲ鑑定にならないよう注意すれば、ピグマリオン効果は活用できるものです。
例えば、お客様が自分で気づいていない良いところや、得意分野を示すこと。特に、お客様が気になる分野が恋愛なら、そこに生かせそうなことを見つけましょう。
それに、お客様が好意的な反応を示したら「どう伸ばすか?どう使うか?」を一緒に検討すればいいのです。
コールドリーディングを悪用すると、適当に当てはまりそうなことを言ってホメるだけになるでしょう。でも、鑑定結果をもとにすれば安易なアゲ鑑定にはならないはずです。
好意的な反応がなくても、お客様の記憶には残るはず。そうすればいい意味でのピグマリオン効果にも、予言の自己成就にもつながるでしょう。
お客様が幸せになる使い方ならOK
心理傾向を知ることは怖いものでも、詐欺のテクニックでもありません。
ただ、占いの場面で心理傾向を悪用されていることを知ることは大切。そのうえでうっかり自分が悪用しないよう注意できればそれに越したことはない、というだけです。
それができたうえで、お金を払って鑑定を利用してくださるお客様のために心理テクニックを使えることはむしろ、素晴らしいこと。
どうせならば、お客様の幸せのために心理テクニックを使える占い師を目指しましょう。